自転車違反行為の増加 弁護士 江幡 賢

1 自転車の違反行為が過去最多に

先日、警察庁から、2020年に全国の警察が摘発した自転車違反が、2万5465件だった事が発表されました。この数は、2006年に統計を開始してから最多であり、前年である2019年と比較して2606件も増加した数字だそうです。

自転車の違反件数は、2012年には約5000件でしたが、毎年増加傾向にあり、2020年には、約5倍の2万5000件を上回っています。

健康志向で一般の自転車利用者が増加した事に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による宅配サービス・自転車通勤の増加などが、違反行為の増加要因だと考えられています。また、昨今、自転車の違反行為に対する取り締まりが強化されており、それらの複合的な要因により、自転車による違反行為が過去最多となったようです。

 

2 違反の類型

違反行為を類型別でみると、最多は信号無視の1万4344件、次いで、遮断踏切への立ち入りで6005件、一時不停止1804件、イヤホン使用や傘差し運転などの遵守事項違反が972件、ブレーキなど制動装置不良が446件、2人乗りなどの乗車・積載違反が233件、酒酔い運転が119となっています。

また、自転車乗車中の事故死者は419人で、そのうち約8割である333人に違反があったと報告されています。違反者のうち249人が65歳以上の高齢者でした。この数字からみると、自転車乗車中の死者のうち、半数以上を高齢者が占めている事が分かります。

 

3 県内の違反状況

新潟県警によれば、2020年に摘発した自転車の違反行為は、前年と比べて3件増加の7件しかありませんでした。内訳は、酒酔い運転が3件、信号無視が2件、ブレーキ等の制動装置不良が2件となっています。

新潟では、冬場の雪が多く、移動手段として自転車を利用する人が比較的少ない事もあるのでしょうが、全国の傾向とは大きな乖離があるように感じます。

自転車の違反については、警察官の指導や警告でとどめられる事も多いようですが、罰金等の刑事罰を受ける可能性もあります。

また、昨今、自転車が加害者、歩行者が被害者となる交通事故の危険性も指摘されています。違反行為のうえ事故の加害者となり、被害者に大怪我を負わせてしまった場合などは、逮捕等の身体拘束や、重い刑事罰を受けなければならない危険もあり、民事上の多額の損害賠償債務を負う可能性もあります。自転車を運転する際には、自分の安全のみならず、歩行者等他人の安全にも十分に配慮した運転を心がけていただければと思います。

2021年4月1日作成

 

投稿者プロフィール

江畑  博之
江畑  博之
昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。
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江畑  博之

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昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。

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