高次脳機能障害 9級 会社役員で休業損害、後遺障害逸失利益が争いになった事例

相談者:70代女性  職業会社役員
後遺障害内容(傷害名)・部位:脳挫傷、骨盤骨折
後遺障害等級:9級
主な自覚症状:記憶障害,遂行機能障害,計算能力の低下等

【当事務所の示談交渉サポートを受けた結果】

  相手方の提示 訴訟での和解額
損害合計額 約500万円 約2500万円

 

ご依頼の経緯

依頼者は、横断歩道のない道路を横断歩行中、走行してきた車に衝突され、脳挫傷、骨盤骨折という重篤な傷害を負いました。

心配されたご主人が、治療中の段階でご相談にいらして、ご依頼頂きました。

当事務所の活動

ご主人のお話をお伺いすると、依頼者の方は、交通事故があるまでは会社役員として業務をこなしていたにもかかわらず、事故後はとても従前の業務をすることができない、また日常生活上も支障があるということでした。

ご主人からお伺いした症状と、脳挫傷という傷病名から高次脳機能障害が疑われましたが、担当の医師は、高次脳機能障害の事案であるということを認識されておらず、後遺障害の申請に必要な検査もされていませんでした。

そこで、依頼者に同行し、当職から担当医と言語聴覚士の方に必要な検査をお願いし、後遺障害診断書等の書類の作成を依頼しました。

特に言語聴覚士の方には、症状について詳細に説明をしたため、しっかりとした報告書を作成してもらうことが出来ました。

以上の準備の上、被害者請求をし、無事に高次脳機能障害で9級と認定されました。

さて、そこで、損害額を算定し、相手方保険会社に提示をしたわけですが、依頼者の方は会社役員であり、交通事故以前には、相当程度高額の役員報酬を受領していました。

実務上、役員報酬については、その全額が休業損害、あるいは後遺障害逸失利益の基礎収入になるものではなく、そのうちの労務対価とされる部分のみが基礎収入となります。そこで、本件については、基礎収入の金額によって賠償額に大きな違いがでて、その点について、争点になるであろうことが想定できました。

そうしたところ、やはり、相手方保険会社は基礎収入としては、女性の平均賃金額しか認めませんでした。しかし、依頼者の方の会社に対する貢献を考慮すれば、相当額の役員報酬を受け取って当然の立場にあり、保険会社の主張は、到底納得のいくものではありませんでした。

そこで、依頼者の方と相談し、訴訟を提起しました。

訴訟では、会社の業務内容から、会社の組織、依頼者の会社での役割等について、会社に協力してもらいながら、十分に主張しました。

その結果、裁判所は、相手方が主張する女性の平均賃金額よりも遙かに高い金額の基礎収入を認定し、和解案を提示しました。和解案の内容については、当職も依頼者の方も納得できるものであったため、和解をしました。

所感、争点(ポイント)

本件は、高次脳機能障害の事案であり、後遺障害の申請に当たっても、慎重に進める必要がありました。さらに、大きな争点として、基礎収入の金額の認定の問題がありました。

訴訟を提起する場合には、依頼者の方にもそれなりの手間(打ち合わせ、書類の準備等)がかかるため、よく相談して進めますが、本件は保険会社主張の金額との開きが余りにも大きく、訴訟とせざるを得ない事案であったと思います。

後遺障害の申請から、訴訟提起、そして和解成立と、解決まで時間がかかりましたが、保険会社提示の金額の約5倍の金額を認めてもらうことができ、十分な結果が出せたと思います(弁護士 小林)。

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